2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本語母語児童への国語教育と非母語児童への日本語教育を言語環境から再構築する試み
Project/Area Number |
21610010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真嶋 潤子 Osaka University, 世界言語研究センター, 教授 (30273733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 和子 桜美林大学, 言語教育研究所, 客員研究員 (70351161)
友沢 昭江 桃山学院大学, 国際教養学部, 教授 (10149643)
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Keywords | 公立小学校 / 外国人児童生徒 / 言語環境 / 読書力テスト(DRA-J) / 日本語・国語 / 母語 / 国際研究者交流 / カナダ:フランス:ドイツ:米国 |
Research Abstract |
1. 目的 本研究は、外国人児童の多い大阪府下の公立小学校において、これまでは別々に議論されてきた「国語教育(日本語母語児童)」と「日本語教育(非日本語母語児童)」を、日本で成育する全ての子どもにとって「学力」を伸ばす「よりよい言語環境」とは何かという視点から、再構築しようとするものである。 2. 実施状況 (1) ある公立小学校において、前年度までに行った読書力テスト(DRA-J : Developmental Reading Assessment-Japanese)をもとにしたツールを用い、教員研修を行った上で、児童の言葉の力を見る調査を始めた。まず1年生の日本語の会話力と読書力を調査した。日本語母語児童(11名)と、中国ルーツの児童(6名)、それ以外の国際児(1名)の計18名である。さらに、そのうちの中国語を母語とする児童(6名)には、両言語の能力の差異を見るため、新しく開発中の中国語読書力テスト(DRA-C)を使って、パイロット的に中国語の言葉の力を見る調査を行い、現在結果を分析中である。 (2) (1)の被調査者の保護者に、児童のテスト結果を個別にフィードバックして、言葉の力増進への提案を行うと共に、家庭での言語環境に関する調査を実施しているところである。 (3) 上記(1)と(2)を行った小学校とは別の小学校においても、日本語の非母語児童についての状況を把握しているところである。複数の公立小学校の外国人児童への言葉の指導(「取り出し」と、「入り込み」指導の現場)の実態を非参与観察し、教室環境や指導内容に関する提言を行い、変化を観察中である。異なる母語とニーズを持つ児童の指導に当たる教員にとっては、子どもの「学力」に密接に関連する言葉の力を把握することは喫緊の課題であり、本調査の意義が認められる。
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