2011 Fiscal Year Annual Research Report
Trichoderma reeseiのセロビオース代謝経路の解明
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21612002
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 宏文 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (70233343)
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Keywords | 遺伝子 / 応用微生物 / 菌類 / β-グルコシダーゼ / バイオマス / セルロース / セロビオース |
Research Abstract |
Trichoderma reeseiは、セルラーゼ高生産菌として知られている。T.reeseiがセルロース培養時に発現するβ-グルコシダーゼ(BGL)3種(Cel1A, Cel3A, Cel3C)の生理的役割を明らかにすることで、T.reeseiのセルラーゼ生産能力の向上及びT.reeseiセルラーゼの糖化能力の向上のための知見を得ることを目的として本研究を行った。 1.各酵素の酵素学的性質を明らかにするため、異種宿主での発現を試みた。Cel1A及びCel3Aは、前年度までに大腸菌を宿主として発現させ酵素学的性質を明らかにした。Cel3Cは、Pichia pastorisを宿主として発現させた。部分精製標品の基質特異性は、pNP-Glcに対する活性がセロビアーゼ活性よりも高いCel3Aと類似していた。 2.各酵素のT.reesei破壊株を作成し、それぞれの破壊株のセルロース代謝及びセロビオース代謝を調べた。セルロース代謝においてCel1A破壊株が、セルラーゼ活性(細胞外)、BGL活性(細胞内外)、タンパク質量(細胞内外)の顕著な減少がみられた。Cel3A破壊株は、細胞外、Cel3C破壊株は、細胞内pNP-Glc分解活性の顕著な減少がみられたが、この結果は、各酵素の局在性および基質特異性を反映するものであった。セロビオース代謝においては、各破壊株で野生株と比較して、セルラーゼ活性、BGL活性およびタンパク質量に顕著な差は見られなかった。以上の結果からCel1Aのみがセルロース培養時のセロビオース代謝に関わるBGLと推定された。従来推定されていたセルラーゼ誘導には、直接は関与していないと考えられる。セロビオース培養時にCel3A破壊株の細胞外BGL活性があまり減少しなかったことから、セロビオース培養時には、Cel3A以外の細胞外BGLが発現していることが推察された。
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Research Products
(3 results)