2009 Fiscal Year Annual Research Report
酵素処理卵白タンパク質による脂質代謝改善とその分子機構
Project/Area Number |
21650181
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 彰 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (10233173)
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Keywords | 食品 / 脂質 / 生活習慣病 / 卵白ペプチド / 脂肪酸合成酵素 |
Research Abstract |
本研究では、ストレスホルモン誘発の高脂肪血症(生活習慣病)モデル動物に消化酵素処理ニワトリ卵白タンパク質を給与し、その脂質代謝改善効果の検証を行い、次いで機能性ペプチドの分離と作用機構の分子メカニズムを明らかにし、さらに、このペプチドを利用した機能性食品素材の開発を試み、ヒトの健康増進に寄与することを目指している。 初年度は、まず、人工グルココルチコイド「デキサメタゾン」を投与して高脂肪血症を誘発させたラットを用いた動物実験系を確立した。次に、この高脂肪血症モデルラットに卵白タンパク質を与え、脂質代謝改善効果の検証を行った。その結果、卵白タンパク質に有意な脂質代謝改善効果が確認され、特に血液の中性脂肪濃度の低下作用と腹腔内蓄積脂肪の減少作用が顕著であることが明らかとなった。この結果を踏まえ、卵白中には脂肪酸合成酵素を特異的に抑制する作用因子が存在しており、その本体は卵白アルブミン(オボアルブミン)の消化酵素産物であると推測した。 次に、上記の仮説を検証するために、オボアルブミンにペプシン消化処理および加熱処理を施したペプチド製品(卵白ペプチド)を試作し、動物実験において脂肪酸合成抑制作用の検証を行った。その結果、卵白ペプチドがオボアルブミンと同等の脂質代謝改善効果を有することが確認され、さらに脂肪酸合成酵素の抑制作用は卵白ペプチドのほうが優れていることが明らかとなった。また、この卵白ペプチドを限外ろ過で分子量1kDa以下に分画し、脂肪酸合成酵素の活性測定系に添加して直接的な影響を調べたところ、IC50に換算して数mg/mlの阻害活性が確認できた。以上より脂肪酸合成酵素阻害因子の本体は分子量1kDa以下の比較的低小型のペプチドであると推定された。
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