2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵素処理卵白タンパク質による脂質代謝改善とその分子機構
Project/Area Number |
21650181
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 彰 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10233173)
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Keywords | オボアルブミン / 酵素処理 / ペプチド / 脂肪酸合成酵素 / 脂質代謝改善 / 機能性食品 |
Research Abstract |
本研究では、酵素処理卵白の脂質代謝改善効果の検証を行い、次いで機能性ペプチドと作用機構の分子メカニズムを明らかにし、さらに、このペプチドを利用した機能性食品素材の開発を行った。 まず、鶏卵白の主要構成タンパク質オボアルブミン(OVA)のペプシン消化物を調製し、脂肪酸合成酵素(FAS)の活性測定系に添加して直接的な影響を調べたところ、有意な阻害活性が確認され、FAS阻害因子の本体は分子量1kDa以下のペプチドであると推定された。また、ペプシン消化物がHepG2培養肝細胞の脂肪酸合成能に及ぼす影響を調べた。その結果、消化物を投与すると、細胞の脂肪酸合成速度が減少することが確認された。次に、ペプシン消化物を逆相HPLCに供し、溶出ピークを数画分に分け、精製FASを用いてそれぞれの画分の阻害活性を調べたところ、いくつかの画分にFAS阻害活性が認められた。さらに、それらの画分をHepG2細胞に与えると、脂肪酸合成量の減少が確認され、FAS阻害ペプチドの存在が裏付けられた。そこで、FAS阻害作用が最も強く、なおかつHepG2細胞の脂肪酸合成を抑制する画分より、ペプチドの単離・同定を行った。その結果、本ペプチドがアミノ酸数個から成るオボアルブミン由来のペプチドであることが判明した。最後に、本ペプチドを人工合成して直接的なFAS阻害作用ならびにHepG2細胞の脂肪酸合成能に対する影響を調べ、効果の再確認を行った。上記の検証と同時並行して、OVAよりFAS阻害ペプチドを含む画分を大量調製する技術の開発を行い、調製画分がラットの脂質代謝に及ぼす影響を調べた。その結果、血液中性脂肪濃度の低下、腹腔脂肪蓄積の低減等の脂質代謝改善効果を確認することが出来た。 以上より、OVA由来FAS阻害ペプチドを含有する機能性卵白製品の開発が可能となった。
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