2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21650193
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
清水 理子 (片平 理子) 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (70204427)
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Keywords | うまみ / ヌクレオチド / 代謝経路 / 加工 / 調理 / 植物性食品 / 動物性食品 |
Research Abstract |
本年度は、最初に大根のサルベージ酵素を中心に、酵素の存在と性質を調べた。次に、鯵、シイタケ、大根について、実際の調理・加工を想定して、塩処理や乾燥処理を行った後の、サルベージ酵素の活性変化を把握し、実用条件におけるサルベージ経路を利用したうまみ物質生成調節の可能性を検討した。大根にも、シイタケや鯵で検出された、ヌクレオチドの分解により生じるヌクレオシドや塩基をヌクレオチドに変換するサルベージ酵素の存在が認められた。しかし活性値を生重量あたりで比較すると、鯵やシイタケに比べて非常に低かった。サルベージ酵素のうち、塩基のグアニン(G)やヒポキサンチン(Hx)を基質とするphosphoribosyltransferase(PRT)の最適温度は50~60℃付近の高温にあり、昨年度調べた鯵の酵素の性質と類似していた。鯵の干物加工を想定して、20%食塩水・30分、続いて27℃乾燥・2時間の処理の後、5℃・4日間冷蔵すると、4日後にも5'-IMPの分解により生じるイノシンをHxに分解するphosphorylaseと、Hxを5'-IMPに変換するHxPRT活性が生とほぼ同レベルで検出された。また、干しシイタケ加工や大根の漬物を想定した50℃乾燥処理や10%食塩処理を施しても、シイタケのGPRT活性や大根のHxPRT活性は処理前に比べて大幅には低下していなかった。以上の結果から、酵素活性から考えると、動物性食品の鯵、植物性食品のシイタケ、大根のいずれにおいても、加工・調理のプロセスや保存中にサルベージ経路を介してうまみ物質(ヌクレオチド)が生成される可能性が示された。サルベージ酵素の反応には、ヌクレオシドや塩基以外に、基質としてリン酸基を含む化合物や5-phosphoribosyl-1-phosphateが必要なため、今後、これらが十分に供給される調理・加工条件を探る。
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Research Products
(1 results)