2011 Fiscal Year Annual Research Report
回折現象を取入れたSEM像コントラストの定量解析化とナノ構造解析への挑戦
Project/Area Number |
21651054
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 範之 九州大学, 産学連携センター, 教授 (50038022)
|
Keywords | 走査電子顕微鏡 / 像コントラスト / 電子回折 / 微細構造解析 / 後方散乱電子 / 後方散乱回折 / チャネリング / バーガースベクトル |
Research Abstract |
前年度までの研究によって、GaNなどの半導体結晶やAl,Feなどの合金材料において後方散乱電子像により転位線が明瞭に観察できることが確認できた。さらに、試料傾斜に伴う明暗コントラストの変化によりバーガースベクトルの符号判定の可能性を提議した。その一方で、転位線が必ずしも明瞭な像コントラストでもって観察されないという問題点も指摘した。本年度は、これらの課題も含め、像コントラストについて重点的に議論した。まず、チャネリング・コントラスト発現条件として、試料表面の平滑性の改善と損傷領域の解消がある。これらの条件自体はよく知られているが、最新SEMの入射電子線の平行性や後方散乱電子検出器の飛躍的な改善により、その影響が顕わに出てくるようになってきた。たとえば、試料表面にナノ・インデントを施して歪場を観察すると、チャネリング・コントラストに明暗が出現するが、結晶内での格子面の傾斜と試料表面の傾斜の可能性がある。これは将来に残された課題である。 転位のバーガースベクトルの決定にはどうしても回折条件を規定する必要がある。試料表面を大きく傾斜させて電子検出器を前方に設置する方式では、電子線後方散乱回折(EBSD)パターンを取得しながらSEM像を観察できるので回折条件を決めることができる。しかしながら、試料表面は傾斜しているので明瞭なSEM像にはならない。そこで、本研究では、精密な試料傾斜装置を用いて、一旦EBSDパターンを取得して試料の結晶方位を求めておき、試料をノーマルな方位にもどして、そこでのEBSDパターンを連動してシミュレーションするという方法を採用した。この手法によれば、TEMでの回折パターン・像の場合と同様に、像コントラストの回折条件による依存性を検証できる。この手法をチャネリング・コントラストによる微構造解析でのスタンダードに提唱する。
|