2010 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母全ノックアウト株の寿命測定と新規寿命遺伝子の探索
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21651083
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
向 由起夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60252615)
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Keywords | 寿命 / 酵母 / 老化 / ノックアウト株 / ゲノム機能 |
Research Abstract |
寿命は生物種によってほぼ一定であり、老化は遺伝的にプログラミングされている。本研究の目的は、真核モデル生物である出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの分裂寿命を決める遺伝子を網羅的に同定することにより、真核生物の寿命制御メカニズムを解明することである。出芽酵母の分裂寿命は一つの細胞が死ぬまでに産む細胞を数えることにより決める。従来の測定法では、生育可能な約4,800株の酵母ノックアウト(KO)株の分裂寿命を測定するために多大な労力と時間を要する。そこで、増殖を指標とする分裂寿命アッセイ系を利用して、大規模かつ簡便に分裂寿命を測定することにより、寿命に関わる遺伝子を網羅的に同定することを計画した。以下のような研究成果を得た。 1. 母細胞だけが増殖する分裂寿命アッセイ酵母株を構築した。 2. 上のアッセイ系を151株のKO株(65個の転写因子、63個のタンパク質リン酸化酵素、23個のタンパク質脱リン酸化酵素)に導入し、増殖が顕著に悪くなる3株(sko1、not3、kin3)を同定した。従来の方法により、sko1とnot3KO株の分裂寿命が短かいことを確認した。Sko1pとNot3pは転写因子であり、これらが分裂寿命を制御することは初めての知見である。 3. 本アッセイ系のKO株への導入効率を94%まで向上させた。現在、残りのKO株について増殖を測定し、分裂寿命制御遺伝子の同定作業を継続している。 4. 転写因子が制御する標的遺伝子の中から分裂寿命に関わる遺伝子を探索するモデル実験を行った。転写因子Uga3pの標的遺伝子の中からGABA代謝酵素遺伝子UGA1が分裂寿命を制御することを初めて見つけた。メタボローム解析から、uga1KO株が長寿命である理由が発酵から呼吸への代謝シフトであることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)