2009 Fiscal Year Annual Research Report
「公共性」概念を基軸とした、パブリックアートの社会哲学的研究
Project/Area Number |
21652001
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
柳澤 有吾 Nara Women's University, 文学部, 教授 (90275454)
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Keywords | 公共性 / パブリックアート / 日本 : ドイツ |
Research Abstract |
日本のパブリックアートに関する議論を「野外彫刻」論中心の狭い枠組みから解放し「公共性」を軸としてパブリックアートの諸要素・諸次元の含意を明らかにするという目的に即して平成21年度の研究実施計画として挙げた項目は以下の2つである。 (1) 基礎的作業の一環として、蓄積の多い欧米の議論の分析・検討 (2) 日本におけるパブリックアートの歴史と現在を読み解く上で重要な画期的取組みに関する情報収集と分析 (1) については文献の探索からはじめねばならなかったうえに、国内に所蔵のない文献や海外でも古書でしか入手不可能な文献も多く、入手作業のみで終わってしまったものも多いが、ベルリンのユダヤ博物館とダニエル・リベスキンドに関する一連の文献・資料はひととおり検討した。平成22年3月に現地を訪れ、ピーター・アイゼンマンの手になる所謂「ホロコースト記念碑」の調査・資料収集とあわせて、現場で「建築の経験」について再考することもできた。ユダヤ博物館に関する論考は今年度中に公表する予定(掲載誌未定)。 (2) については、別府現代芸術フェスティバル、越後妻有アートトリエンナーレなど地域の活性化とアートを結びつけた新たな試みと、UBEビエンナーレ(宇部市)など歴史のある取組みの双方を調査した。また1960年代の須磨離宮公園現代彫刻展以来、都市の公共空間作りに意識的に取り組んできた神戸が、震災を経て新たに「デザイン都市・神戸」推進の一環としてはじめたビエンナーレも訪れた(同時開催の環境芸術学会にも参加)。資料の整理と理論的検討は平成22年度以降の課題である。
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