2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652005
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 義秀 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50196135)
|
Keywords | 限界<寺院・神社・教会> / 地域社会 / 過疎 / 浄土真宗大谷派 |
Research Abstract |
本研究では、現代日本の宗教と社会の変動を限界<寺院・神社・教会>という概念によって把握し、日本の地域社会における寺院・神社・教会の実態と社会的機能を動態的に捉えることをめざす。限界<寺院・神社・教会>とは、教師(住職、神官、牧師)や信徒の高齢化、及び担い手不足のために宗教団体の存続と活動が危機にさらされているような宗教施設に対して、申請者が新たに付けた概念である。 平成22年度は、真宗大谷派北海道教区8区と2区において計20ヶ寺ほどに調査を行い、過疎地域における寺院の地域的役割に関して考察した。その成果は、『現代仏教と地域社会(1)-過疎地域寺院の現状と課題』(A4総頁95頁)として報告書を作成し、北海道教務所に提出すると共に、記録を保管した。調査上の知見を要約すると、1)札幌市近郊の長沼・栗山・南幌町の農村部寺院は、農家経営が比較的安定しており、農家の跡継ぎを確保できることから檀家を農村部で維持し、札幌へ他出した家族の法務も出張により可能なことから檀家数をむしろ増やし、安定的な寺院運営を行っている。2)他方、夕張・穂別といった旧炭鉱地区では高齢化・過疎化が著しく、檀家数は減少の一途をたどり、寺院は存続のめどが立っていない。3)檜山・江差といった道南の漁村・農村地域は、コミュニティ意識が堅固であることと、漁業・農業共に徐々に衰退するもののそのスピードが遅いことから、寺院の運営基盤はそれなりに安定しており、次世代に寺院継承を考えている寺院が半数を超えていた。以上、北海道が全域で高齢化・過疎化が進行しつつあることは確かであるが、地域ごとの特色と寺院とコミュニティの歴史的関係の形成をおうことが、本研究の課題であることも明らかになった。 また、現代仏教を含む地域と宗教との関係に関わる学会発表を国内外で行なった。 次年度は、札幌地区において都市型寺院と町内会や区民との関わりについて調査を行う予定で、北海道教務所と協議を進めている。
|
Research Products
(13 results)