2009 Fiscal Year Annual Research Report
美術とスポーツにおける身体観の相違についての理論的・実践的研究
Project/Area Number |
21652014
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
児美川 佳代子 (小松 佳代子) Tokyo National University of Fine Arts and Music, 美術学部, 准教授 (50292800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 康 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (00183377)
宮永 美知代 東京芸術大学, 美術学部, 助教 (70200194)
青柳 路子 東京芸術大学, 美術学部, 助教 (70466994)
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Keywords | 美術教育 / 美術解剖学 / 身体 / ラグビー / 感性教育 |
Research Abstract |
1.理論研究としては、身体を多角的に捉えるために、様々な身体へのアプローチについて学んだ。7月に最初の打ち合わせをし、その後9月・11月・2月に3回理論研究会を行った。内容は、(1)美術解剖学視点から見た身体-筋学・骨学-、(2)骨相学-かたちから内面を知るという欲望-、(3)オステオパシーの身体観についての発表を受けてディスカッションした。理論研究の成果としては、身体への見方を深めることが、的確にものの形をとらえる視点と感性を鍛えることになるという気づきを得たことである。特に身体のかたちを捉える美術解剖学的視点と、体の痛みを局所的にではなく身体全体の問題として捉えるオステオパシーの身体観とは、共通する点が多くあった。的確な形への気づきが、的確な身体の動作へと結びつく接点となることがわかってきた。 2.実践研究としては、流通経済大学ラグビー部員とスタッフに対して、美術プログラムを合計3回、その準備のための研究会を合計3回行った。内容は、人体クロッキー、ものの見方の訓練、ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学のM.ツォラー教授(美術解剖学)の考案した「針金モデル」の制作、写真による視点の転換等である。この美術プログラムを実施するために、ラグビー部のスタッフとラグビー選手に必要な美術的な視点について数度にわたって議論し、東京藝術大学の教員、美術教育を専攻する大学院生及び東京大学のスポーツ科学を専攻する大学院生で合計4回の研究会を開いてカリキュラムづくりを行った。実践研究の成果としては、ラグビープレーヤーから、美術プログラムによって人の重心・関節などを意識化できるようになったという意見を引き出せたことである。重心をしっかり捉えることができれば、例えばタックルに入るときにフェイクの動きに惑わされることなく、相手の重心のかかっていない弱い部分に気づくことができるなど、ラグビーのスキル向上にもつながっていくのではないかという可能性が示された。
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Research Products
(1 results)