2009 Fiscal Year Annual Research Report
園田高弘研究―使用楽譜と蔵書の解析及び弟子へのインタビューを通して―
Project/Area Number |
21652015
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山下 薫子 (坂田 薫子) Tokyo National University of Fine Arts and Music, 音楽学部, 准教授 (90283324)
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Keywords | 芸術諸学 / 園田高弘 / 西洋音楽受容史 / 音楽教育史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、平成16年に死去したピアニスト、園田高弘の功績を、演奏と教育の両面から明らかにすることである。研究初年度の平成21年度には、主として、園田が日本の自宅に所蔵していた使用楽譜と蔵書の一部について、移送とデータベース化を行った。その際、傷んだ箇所に補修を施すとともに、書き込みのあるものを特に抜き出し、後日、園田の演奏や校訂譜と照合できるようにした。 また、園田がドイツの自宅で所有していた史料(一部)の移送も併せて行うことができた。これは計画当初、平成22年度に行う予定にしていたことである。 これらの移送・分類・整理の作業と並行して、園田の演奏するCD、特に本年度はJ.S.バッハとL.v.ベートーヴェンのCDを収集した。今回、収集したCDの作曲者や演奏年代が限定されていたため、様式や年代による違いの分析には至らなかったが、園田自身が校訂した楽譜と照合することにより、その特徴や理念を導き出すことができた。録音時に使用された楽譜との照合、様式や年代による演奏の変化に関する分析は、次年度以降の作業となる。 加えて、園田から指導を受けたピアニストにインタビューを行った。園田が、指導者として後世に何を伝えようとしたのか、その音楽観の一端を垣間見ることができた。このインタビューは予備的なものであったが、次年度以降に行う弟子たちへの本格的な聴き取り調査を準備するうえで、大きな手掛かりが得られたと考えている。
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