2010 Fiscal Year Annual Research Report
経済学と倫理:社会の成立と市場の勃興に見る「制度と規範の一般理論」の構築
Project/Area Number |
21653017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浦井 憲 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (00203597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 惠行 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (60216869)
堂目 卓生 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (70202207)
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Keywords | 経済理論 / 経済学と倫理 / 動学的一般均衡理論 / 経済思想 / 経済学方法論 / スコットランド啓蒙哲学 / プラグマティズム / 分析哲学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、経済学理論における「倫理」の取り扱いについて、その基礎理論論を構築しようとするものである。3年度にわたる研究期間のうち、2年目にあたる今年度の成果としては、まず前年度に築いた思想的・方法論的な基礎付けを、著作の形にまとめて発表したことが挙げられる。研究代表者の論文「社会科学の理論とプラグマティックな立場」、「アダム・スミスと存在論なき倫理」、「今日の社会科学と量子力学的世界観」は、前年度末の一本と合わせ、前年度の成果を啓蒙的著作として発表したものである。また、現在これらの内容を全てまとめ、加えて経済学理論一般との関連に重点を置いた次の著作(NTT出版より予定)を準備している。 動学的モデルの構築について、連携研究者(吉町昭彦:同志社大学)他との共同論文が3通りの方向(非協力コア理論、非対称情報、一般均衡モデル)で作成されており、今のところディスカッションペーパー形式での発表を控えているため表面には出ていないが、すでに雑誌への投稿準定期的な読書会と勉強会は、研究代表者の浦井を中心に、連携研究者として名前を挙げた吉町(同志社大学)その他有志の学生らと毎週おこなわれた。今年度は特に線形動学モデルにおける数学的方法、目的関数を非有界とした場合の動学的最適化問題(Overtaking Criterionなど)について研究の範囲が広げられ、数学モデルおよびその環境問題への適用という形で論文が作成されつつあり、次年度以降の成果につながっている。また方法論的方向からは、前年度の基礎理論を更に発展させるものとして、人類学、民俗学、宗教社会学的方向からの知見の総合が検討され、特に「日本的」な宗教概念と、経済学理論、科学、合理性といったこととの関係がクローズアップされた。この方向は一つには上にも述べた次年度の著作に生かされることになり、また歴史的観点、倫理学的観点(今年度は特にレヴィナスや和辻倫理学との関連を中心に議論が深められた)などと総合して、次年度(最終年度)のアンケート調査の項目、およびこれからの新しい研究の方法論といったことに直接結びつくものとなるであろう。 分担者、竹内、堂目とのディスカッションは随時連携的に行われ、今年度のとりわけ代表者の著作にまとめられ、また、最終年度の論文・著作にもまとめられるであろう。最終年度を前に、今年度はそのための道具が、ほとんどあらゆる意味で完成したと言える。
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Research Products
(6 results)