2011 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国Early Child Developmentへの心理臨床モデルの適用
Project/Area Number |
21653069
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10254129)
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Keywords | 地域援助 / 心理教育 / 乳幼児期への支援 / 協働 / ECD / ECCE / 介入プログラム |
Research Abstract |
<今年度の目的>昨年度実施した、親子の関係性促進に焦点を当てた早期発達プログラムを、現地カウンターパートとの協働から、課題を抽出して修正すること。また、修正したプログラムを実施して、その効果を検討すること。<方法>フィールドは、アジアの一都市にあるスラム地区の昼食を無料配給する福祉施設である。4~8月、電子メールやスカイプなどの通信手段を活用し、昨年度の課題と対応策について現地カウンターパートと協議を重ねた。8月には現地へ1ヶ月間渡航し、現地カウンターパートと目的の再共有、セッション構造の修正、事前リハーサルなどを行った。修正したプログラムは、子ども62名とその養育者43名に対して実施された。現地カウンターパートの協力のもと、支援対象となる子どもと家族に最大の配慮をしながら、評価内容が収集された。<結果>プロセス評価:平均参加回数は8.8回、ドロップアウト率は9.3%と、昨年度から改善が見られた。参加者アンケートでは全員が「楽しめた」と回答した。実施初期には参与観察をし、運営者と方針の確認を行って運営の質の向上に努めた。中期のビデオ記録では方針の実践と現地の工夫が確認され、実施後の運営者インタビューでは目的に沿った視点が語られた。アウトカム評価:セッション中のシェアリングと参加者アンケートでは、親子の関係性への気づきや、養育者自身の変化、子どもの行動や情緒の変化があり、運営者インタビューでも、親子の関係性が変化した様子が語られた。子どもの愛着の安定性(Attachment Q-set)と育児ストレス(PSI-SF)の質問紙について、事前事後比較(ウィルコクソンの順位和検定)を行った結果、どちらも1%水準で有意に改善していた。現地カウンターパートとの協働を重視して修正されたプログラムは、プロセス・アウトカムともに、十分高い評価が得られたことが示された。
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