2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童生徒の反社会的行動に及ぼす非社会性要因の影響について
Project/Area Number |
21653107
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
滝 充 National Institute for Educational Policy Research, 生徒指導研究センター, 総括研究官 (50163340)
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Keywords | 自己有用感 / 反社会的行動 / 非社会性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「暴力行為」や「非行」という反社会的行動に対して、非社会性の研究で培われた視点・手法・教育実践を適用することにより、新たな知見・解釈を得られるかどうかを検証することにある。 従来、反社会的行動等の問題に対しては、もっぱら本人や家庭の暴力的要因を主因と見なし、それらを除去したり矯正したりすることで問題の解消を図るといった、いわば「治療的発想」に基づく対応がなされてきたと言える。今回の研究では、そうした反社会的行動の背景に非社会性の問題があると仮定し、そこに「教育的発想」に基づいた対応を行うことで、非社会性のみならず反社会的な問題の未然防止も可能になるかどうかを検証しようとするものである。 本年度は、その1年目として、暴力的な問題行動の発生率が相対的に高いA中学校区(A中学校、B小学校、C小学校)に対して、基礎的な質問紙調査を、5回にわたって実施した。内2回は「問題行動測定調査」と呼ばれるもので、6日と11日に実施、残る3回は「社会性測定調査」と呼ばれるもので、5日・10月・2月に実施した。 これらのデータは、2年目以降に行うA中学校区の取組の参考にするためのものであると同時に、2年目以降も類似の調査を行うことで、相互の結果を比較対照し、2年目の取組の効果を測定・評価するためのものである。2年目には主として自己有用感に着目した教育実践を行ってもらうことによって児童生徒の社会性を高め、そのことが3年目における児童生徒の反社会的行動の減少に結びつくかどうかを検証していくことになる。 なお、本年度は、そのほかに、スウェーデン教育省の関連研究機関の研究者との交流、ニュージーランド教育省の行政官ならびに研究者との交流を行うことにより、非社会性が反社会的行動に結びつく傾向は、日本に顕著な(先進的に顕在化している)傾向であることを確認した。
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