2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
十一 元三 京都大学, 医学研究科, 教授 (50303764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 直己 東京福祉大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20452518)
成本 忠正 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (60434560)
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Keywords | 不登校 / 発達障害 / リカバリー / 情緒・行動の問題 / 心理教育プログラム |
Research Abstract |
本研究は、小中学校時代に不登校を経験し、高校時点でリカバリーした群の「卒業後の社会的予後」に関する縦断的研究である。対象校となる大阪YMCA表現コミュニケーション学科は、義務教育期間に不登校状態であった(平均約4年)生徒のみを受け入れる、民間の高校である。1学年約30人3であり、約98%が3年間通学し卒業している。自尊感情尺度を使用して評価したところ、対象群はきわめて低い自尊感情を有することが示された。また抑うつ尺度を用いて対象群の抑うつ傾向を調査したところ、男子で約45%、女子で約33%がうつ状態を疑われることが明らかとなった。自閉性の特性を評価する質問紙(PARS)では、一般的な高校生の平均値より高い得点であったことから、発達障害圏に位置するとまではいかないが、対人関係能力は概ね低いことが示唆された。それらが複合的に相互作用して低自尊感情や抑うつ状態をもたらしていると考えられる。また義務教育期間中の長期的な不登校状態は、対象群の行動や情緒の問題に強く影響していると考えられる。今年度卒業生を対象にWHO-QOL26を実施した。この結果、3年間の学校生活の中で、良好な生活の質を高めていけたことが示された。今後1年後も追跡調査を実施し、同様にWHO-QOL26や自尊感情尺度を実施する予定である。これらの評価を組み合わせることで、不登校リカバリー群が卒業後も良好な社会生活を咲ることができるかを見ることができる。
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Research Products
(5 results)