2010 Fiscal Year Annual Research Report
関数体上定義される保型関数の周期とL関数の積の特殊値について
Project/Area Number |
21654002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 智 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (30372577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 正大 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (90346065)
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Keywords | 代数学 / 保型関数 / 関数体 |
Research Abstract |
有限体上の射影直線の関数体に値をもつ一般線型群の表現に付随する保型関数の「周期」と呼ばれるべき積分値の計算について、その理解を深めるために行われた今年度の研究は次の通り。上の問題に関して直接の進展はなかった。 本年度は、L関数とイプシロン因子のヘッケ作用素の固有値による具体的な表示に関する結果についての講演を行った(下の表の講演5,6,7)。また、研究集会「p進佐藤理論」においては、佐藤理論の代数幾何的定式化に関するサーベイを行った(講演4)。これらは一見無関係であるが、イプシロン因子はコホモロジーの行列式としてのとらえ方があり、また、佐藤理論は無限次元のベクトル空間の間の作用素の行列式を用いる部分があり、(少なくとも)無限次元線型代数の部分が共通している。ここでいう佐藤理論が似ているイプシロン因子は、ラングランズ対応でいう保型側とガロア側でいうと、ガロア側であり、われわれの結果は保型側であるという点では、無関係となっている。ただし、この(幾何的ラングランズにおける)保型側のイプシロン因子を、このような無限次元線型代数の枠組みの中で解釈する、という問題は考えられ、答えがはっきりすると上記の問題にも役に立つと思われるのだが、解決には至らなかった。 また、2010年7月にピンク氏によりドリンフェルト加群のモジュライのコンパクト化に関するプレプリントが発表された。関数体上の保型関数の一部は、ドリンフェルト加群のモジュライのコホモロジーの元とみなすことが可能なため、そのコホモロジーの計算にはコンパクト化が存在することは役に立つ可能性が見込まれる。そのため、研究分担者である安田氏とセミナーを行い、その論文を軸にコンパクト化について学習した。
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