2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノインクジェット技術による有機半導体単結晶薄膜のポジショニング
Project/Area Number |
21656006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野 種正 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (50126306)
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Keywords | インクジェット / 有機半導体 / 薄膜トランジスタ / 静電吐出 |
Research Abstract |
・静電型針式インクジェットの吐出挙動を観測するための実験系を構築し、その吐出挙動を調査した。その結果、ノズルに電界を印加すると、液体が針先端までエレクトロウェッティング現象で濡れ拡がり、先端で静電力によってテーラーコーンを形成した後吐出することがわかった。そのため、細管からの吐出に比べて微量の液体を吐出でき、その結果として微細な描画が可能であることがわかった。 ・液滴の吐出は、印加した矩形波電圧の立ち下がりの後に起こすことがわかった。この現象を利用することで、極微細な描画を所望の位置にできることがわかった。 ・静電型針式インクジェット方式を用いてオリゴチオフェン系の有機半導体の描画を試みた結果、大きさが数ミクロンの単結晶と思われる結晶粒をガラス基板表面に形成することに成功した。 ・より大きな結晶粒を形成することを目指して、吐出液滴の量を単純形状の針式よりは大きくできる、スリット形針式静電ノズルを考案した。 ・スリット形静電ノズルを用いた描画を利用して、ボトムゲート形の薄膜トランジスタを試作した。その結果、予想したとおりpチャネル型のトランジスタ動作を実現できることがわかった。しかし、そのキャリヤ移動度は小さく、その原因はスリット形針式静電ノズルを用いた場合でも、ひとつの結晶粒が小さく、トランジスタのチャネルが小さな結晶粒の集合体になっているためと考察した。 ・結晶粒の増大のためには、有機半導体の溶媒の乾燥速度を最適化することが重要であるとの見解に至り、各種溶媒を試した結果、乾燥速度の調整が可能となり、結晶粒を増大することができることがわかった。
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Research Products
(5 results)