2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656020
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
後藤 真宏 National Institute for Materials Science, 次世代太陽電池センター, 主幹研究員 (00343872)
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Keywords | 液中分子ジェット / パルスレーザー / 衝撃波 / キャビテーションバブル / 時間分解観察 / ポンププローブ法 / 分子固定 / 微細加工 |
Research Abstract |
我々は最近、パルスレーザーを利用することにより液中において有機分子のナノジェットを発現させることに成功した。しかしながら、その発現機構に関するメカニズムは未だ解明されていない。そこで、本研究では、その発現機構の解明をめざし、ポンププローブ法を用いた時間分解観察により、液中における分子ジェットを直接観察し、その発生メカニズムを解明することを目的とした。 本年度、ポンププローブ法を利用した液中分子ナノジェット時間分解可視化システムを構築した。当該研究予算のほぼ全額を使用して購入したICCDカメラにより時間分解の可視化を可能とした。 その結果、これまで成しえなかった液中の分子ジェットの移動の様子を直接観察することに世界で初めて成功した。 液中での分子ジェットの発現機構は全く予想し得なかった驚くべきものであった。メカニズムは以下のとおりである。 1.有機分子フィルムがパルスレーザー光を吸収し、光励起される。2.励起状態の有機分子が液体(水など)にエネルギーを与え、衝撃波が発生する。3.それに引き続きキャビテーションバブルが発生し、それが大きく成長する。4.やがてキャビテーションバブルが収縮に転じ、急速に伸縮していく。5.微小サイズになったバブルの中央部から集束された有機分子がジェットになって噴出し、それが液中に伝搬する。これが液中分子ジェットであることがわかった。このように奇妙なメカニズムによって液中分子ジェットの特異な現象(液中を拡散することなく移動することや、金属基板上に強固に分子を固定したり、分子で金属に穴をあけたりすること)が起こっていることが解明された。分子ジェットの速度も時間分解の撮影データから決定でき、マッハ3という非常に高速度のジェットであることがわかった。
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