2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 宗孝 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40301246)
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Keywords | セントポーリア / 培養変異 / トランスポゾン / エピジェネティック / F3'5'H / 茎頂培養 / 葉身培養 / 定芽と不定芽 |
Research Abstract |
植物の培養突然変異については多くの研究があるが、その原因を追及し解決を目的としてものは希である。そこで、セントポーリアを培養変異のモデルにすることで、その原因を特定し、解決することを目的として実験を行っている。得られた成果は以下の通りである。 1. 定量PCRによる変異細胞の発生率を決定することが出来るようになった。 2. 植物体上にすでに存在している変異細胞は器官によって異なり、生殖器官では極めて少ない。 3. セントポーリアの培養変異はすでに植物体に存在している変異細胞に由来するのではなく、シュート発生の過程の変異に由来している。 4. これまでに突然変異が起こりにくいとされてきた茎頂培養でも20%以上の高い変異率が得られた。 5. 茎頂培養由来の変異率はこれまで培養変異の原因と考えてきたF3'5'Hのプロモーター部のトランスポゾンの脱離によるものではなかった。すなわち、その変異の原因は花弁で特異的にトランスポゾンの立つ利率が上昇している変異体であった。 6. また茎頂培養の中から新たに発生した変異体として二通りのトランスポゾンの脱離様式を持つものが得られた。これは、オリジナルの配列がその一部を脱離させる場合とその全部を脱離させる場合を持つことによって、一つの花弁に二つの花色を持つことが明らかになった。 以上のことからセントポーリアでは、変異の発生はジェネティックな機構のみではなくエピジェネティックな機構をも有しており、全ての機構を解明できればモデルとしては極めて有用であることは再確認できた。さらに、突然変異はこれまで考えられてきたような不定芽の発生のみにはよっておらす、おらす、in vitro環境にある特定あるいは複数の要因が引き金になっていることを確認することが出来た。
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