2011 Fiscal Year Annual Research Report
チョウザメ類にゲノム重複とクローン生殖をもたらすアポミキシスは起きているか
Project/Area Number |
21658067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 克俊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (00137902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 伸次 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40231930)
山羽 悦郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60191376)
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Keywords | ゲノムサイズ / フローサイトメトリー / 四倍体 / 三倍体 / 染色体 / FISH / 生殖細胞 |
Research Abstract |
前年度までの研究から、チョウザメ類種内にゲノムサイズ変異が生じ、倍数体が出現することが明らかになった。本年度は、ゲノムサイズが未確定のチョウザメ種について検討を続けるするとともに、変異出現機構解明に資するため、作出・飼育してきた純粋種および交雑種の二倍体、三倍体個体の生殖腺について組織学的分析を行った。さらに、機構解明に重要な繁殖成功率の向上のため、産卵適期に関する研究と始原生殖細胞の可視化、起源、移動に関しても検討を行った。以上の本年度研究成果は以下の通り要約できる。 (1)約4pg(二倍体)と8pg/N(四倍体)の個体が出現し、種の標準ゲノムサイズを決定できなかったロシアチョウザメの子孫53個体について分析したところ8.6-9.5pg/NのDNA量(進化的四倍体)を示した。一方、ロシア雌×ミカドチョウザメ雄子孫はほとんどが8.6pg/Nを示したが、56尾中1尾が4.2pg/Nを示した。この個体は半数体症候群を示さず外観は正常であったことから、ゲノム半減による二倍化の可能性が示唆された。戻し交配雑種(カルーガ×アムール)雌×アムール雄は多くが二倍体(進化的四倍体8.4pg/N)であったが、遺伝的な三倍体(約13pg/N)も5%(4/79)生じた。 (2)純粋種コチョウザメ三倍体、交雑種ベステル(オオチョウザメ×コチョウザメ)三倍体、ベステル雌×アムールチョウザメ雄、ロシア×ベステル、ベステル×カルーガは約6pg/Nを示し、精子形成が可能であったが、雌は不妊であった。すなわち、ゲノムサイズによっては雑種あるいは三倍体であっても雄の妊性を期待できる。 (3)ベステルでの繁殖実験から排卵能をもつ時期が採卵適期であること、電子顕微鏡観察から卵は植物極側に生殖質様の構造をもつことが判明した。また、始原生殖細胞を可視化し、顕微鏡下で追跡することが可能となった。
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