2009 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス阻害因子遺伝子導入・異種移植による潜在的卵母細胞救命法創出
Project/Area Number |
21658092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 昇 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
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Keywords | アポトーシス / アポトーシス阻害因子 / 卵胞 / 顆粒層細胞 / 卵巣 / 卵巣内潜在的卵母細胞 / カスパーゼ / 細胞死リガンド・受容体 |
Research Abstract |
哺乳類では、胎仔期にディプロテン期で減数分裂を休止して休眠している卵母細胞が、成雌家畜の卵巣内には数十万個含まれており、性周期毎に卵母細胞は休眠をといて卵胞とともに発育・成熟して排卵に至る。この過程で最終的に排卵にいたるものの100倍以上もの卵胞・卵母細胞が発育を開始するが、ほとんどが死滅し、1%以下が排卵に至る。この卵胞・卵母細胞の選択的死滅は、優秀な子孫を残す戦略として重要であるが、分子制御機構は未解明である。本研究は、家畜の卵巣において繰り返される卵胞の選択的な死滅を調節している分子制御機構を解明し、これをもとに卵巣組織の凍結保存法を開発しようとするものである。このようにして卵巣を凍結保存し、その内の潜在的卵母細胞を救命することで雌性遺伝子資源の保存を実現する技術を創出できる。今年度は、卵胞、特に顆粒層細胞に発現している細胞死受容体系の同定をすすめた。併せて細胞死受容体を介するアポトーシスシグナル細胞内伝達系を精査した。その結果、卵胞では顆粒層細胞が閉鎖に支配的に関わり、細胞内アポトーシスシグナルがミトコンドリアを介して伝達するII型アポトーシス細胞であることが分かった。さらに可溶性細胞死受容体が発現していること、細胞内アポトーシスシグナル伝達阻害因子(cFLIPとXIAP)の家畜における遺伝子とアミノ酸配列を決定し、その役割の解析を進めた。予備的に免疫不全マウスの腎に未成熟卵胞を含む家畜卵巣の組織細片を異種移植し、この時阻害因子をin vivo遺伝子導入やRNA発現阻害を施すと、卵胞を救命できることがわかってきた。
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