2009 Fiscal Year Annual Research Report
一過性心筋虚血の血液生化学的診断マーカーとして血清DNase Iを活用する
Project/Area Number |
21659146
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
植木 美鈴 University of Fukui, 医学部, 助手 (00165656)
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Keywords | deoxyribonuclease I / deoxyribonuclease I-like 3 / 一過性心筋虚血 / 診断マーカー / 低酸素応答 / SNP |
Research Abstract |
心筋マーカーの逸脱にまで至らない一過性心筋虚血を鋭敏に検出しうる血液生化学的診断マーカーが利用できれば、急性心筋梗塞(AMI)のみならず不安定狭心症(UAP)などの急性冠症候群の早期診断を可能にするものと考えられる。しかし、一過性心筋虚血を鋭敏に検出しうる血液生化学的診断マーカーは知られていない。そこで、血清DNase Iを急性冠症候群によって惹起される一過性心筋虚血の血液生化学的診断マーカーとして活用することを目的として本研究を実施した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.従前の研究で、DNASE1遺伝子は2つの転写開始エキソンをもち、それらの上流域にはプロモーター活性があり、エキソン1aのプロモーターに転写因子Sp1が結合し転写の活性化に関わることを見出した。これらの知見に基づき、心筋梗塞を局所の虚血と考え、低酸素暴露によるDNASE1遺伝子の発現を精査した。培養細胞QGP-1の低酸素暴露により核酸分解酵素DNASE1遺伝子は転写が増強され、その転写調節には転写因子Sp1が関わることが明らかとなった。ヒトDNase I遺伝子は膵臓、小腸などで高レベルの発現を示し、血中DNase Iの起源臓器と考えられている。このような結果から、AMI発症に伴い消化器系への血流量の低下が生じ、その結果DNase I産生細胞に低酸素暴露が惹起され、DNase I遺伝子発現の増強が誘起された結果血中DNase I活性レベルが一過的に上昇したものと考えられた。 2.DNase I familyのうちDNase I-like 3は自己免疫疾患への関与が報告されている。今回、DNase I-like 3遺伝子内の2座位の非同義置換型SNPについて、集団遺伝学的および酵素学的に精査した。その結果、DNase I13の非同義置換型SNPにおいてコーカソイド特異的アレルの遺伝子産物は酵素活性が極めて低いDNase I13酵素を産生することを明らかにした。
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