2010 Fiscal Year Annual Research Report
一過性心筋虚血の血液生化学的診断マーカーとして血清DNaseIを活用する
Project/Area Number |
21659146
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 助手 (00165656)
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Keywords | deoxyribonuclease I / deoxyribonuclease II / 一過性心筋虚血 / 診断マーカー / 不安定狭心症 / SNP / 集団調査 / 急性冠症候群 |
Research Abstract |
一過性心筋虚血を鋭敏に検出しうる血液生化学的診断マーカーは知られていない。そこで、血清DNase Iを急性冠症候群によって惹起される一過性心筋虚血の血液生化学的診断マーカーとして活用することを目的として本研究を実施した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1. 急性心筋梗塞の症例数を増やし、血清DNase I活性が有意に上昇することを確認した。さらに、不安定狭心症例についてもDNase I活性の上昇が認められ、急性冠症候群に伴う一過性心筋虚血が血清DNase I活性レベルの上昇を惹起することが明らかとなった。次年度、さらに症例数を増やし、血清DNase Iの一過性心筋虚血の血液生化学的診断マーカーとしての有用性を検証することとしている。 2. 血清DNase I活性を診断マーカーとして利用するには、その正常値に影響する遺伝的因子を明らかにしなければならない。DNase I遺伝子には多数の一塩基多型(SNP)が座位しており、本年度は同義置換型およびエキソン外SNP11座位に着目した。11座位のうち3座位(SNP ID : rs1799892, rs3810815, rs3810816)のみでアジア人、アフリカ人および白人集団全てに多型性が認められた。さらに、日本人集団において多型性がみられる5座位について、血清DNase I活性レベルとそれぞれの遺伝子型には相関が認められず、従ってDNase I遺伝子内同義置換型およびエキソン外SNPは活性レベルに影響しないことが明らかとなった。 3. DNase Iと共にDNase familyに属するDNase II遺伝子内の全非同義置換型SNP 7座位には一部の集団を除きアジア人、アフリカ人および白人集団において多型性は見られなかった。さらに、このうち4座位のminor alleleによって産生されるDNase II酵素は不活性型であった。この知見はDNase II活性レベルの遺伝的因子を明らかにするものである。
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