2009 Fiscal Year Annual Research Report
次世代大規模シークエンジング技術による慢性ウイルス性肝疾患の病態解明
Project/Area Number |
21659186
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
榎本 信幸 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 伸哉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (70397298)
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Keywords | HCV / シークエンス / HBV |
Research Abstract |
次世代高速シークエンシングによる肝炎ウイルス変異体解析法の開発 ●C型肝炎ウイルス(HCV)あるいはB型肝炎ウイルス(HBV)によるウイルス性慢性肝炎では、個々の患者体内における多数の変異集合体の存在様式(=quasispecies)が病態形成に重要と考えられる。しかしながら、従来ウイルス全ゲノム領域においてこのような検討を大規模に行うことは技術的に困難であった。本研究の狙いは、次世代大規模シークエンサーを導入することにより、このような目的を達成させることである。 ●次世代シークエンスを導入するためには、PCRによりウイルス遺伝子をまず増幅させる必要がある。本年度においては、C型肝炎ゲノムとB型肝炎ゲノム全長をPCRで増幅させる系を確立した。HCVにおいては約10000塩基長の全ゲノム領域を約20のフラグメントに分割してPCRする系をゲノタイプ1bのみならず、ゲノタイプ2aと2bに関しても確立した。またHBVに関しても全ゲノムを8つのフラグメントに分割して増幅する系を確立した。 ●この系を用い、ゲノタイプ1b、2a、2bのHCVゲノムについてはペグインターフェロン・リバビリン併用療法症例、肝癌発症症例を中心に、HBVについては核酸アナログ症例を中心にダイレクトシークエンスを行い、ウイルスゲノムと各臨床因子との関連について検討した。その結果、HCVではコア領域、NS5A領域における治療感受性を規定する領域があり、コア領域は肝発癌にも関連すること、HBVではPreS領域に核酸アナログの耐性出現と関連する領域のあることを見出した。 ●上記のダイレクトシークエンスの結果をもとに、次年度は実際に次世代高速シークエンシングによるゲノム解析を行い、quasispecieが臨床にどのように関与していくのかを明らかにしてゆく予定としている。
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