2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代大規模シークエンシング技術による慢性ウイルス性肝疾患の病態解明
Project/Area Number |
21659186
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 伸哉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (70397298)
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Keywords | HCV / 次世代シークエンス / HBV |
Research Abstract |
次世代高速シークエンサーであるRoche Genome Sequencer Junior(GSJ)を用いて患者体内の肝炎ウイルス遺伝子の解析方法を開発した。GSJは400-500bpの長いcDNAを同時並行的に10万リードの配列を約10時間で得ることが可能であり、これは従来の一般的なキャピラリーシークエンサーの1000倍の能力にあたる。HCV遺伝子を患者血中よりRT-PCRにより増幅しその配列をGSJにより解析した。異なる患者からのPCR産物を識別するためにprimer部分にバーコード配列と呼ばれる識別配列を付加、一度のランで得られる10万リードを最大100に分割し、一患者あたり1000リードずつの配列情報を得るバーコードシークエンスも開発した。これにより、同時に約100名の患者から1000リードずつのHCV遺伝子配列を得ることに成功した。これにより患者体内の変異体の1%以下にしか存在しないウイルス遺伝子変異を迅速に同定すること、病態変化、治療反応性に関連するウイルス遺伝子変異体の体内構成の動的な変化を包括的に解析することが可能となった。HCVあるいはHBVによるウイルス性慢性肝炎では、個々の患者体内における多数の変異集合体の存在様式(=quasispecies)が病態形成に重要と考えられる。しかしながら、従来ウイルス全ゲノム領域においてこのような検討を大規模に行うことは技術的に困難であった。本研究で次世代大規模シークエンサーを導入することにより、このような目的を達成させることに成功した。今後は本法によって明らかとなる変異体の臨床的意義および機能的解析を行っていく予定である。
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