2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659274
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
本橋 伸高 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30166342)
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Keywords | うつ病 / 経頭蓋直流刺激 / 認知機能 / 脳刺激 / 治療法 |
Research Abstract |
うつ病の新たな脳刺激治療法として期待されている経頭蓋直流刺激(tDCS)が、脳機能に影響を与えるかどうかについての予備的な研究を、山梨大学医学部倫理委員会の承認のもとで行った。対象は、研究の趣旨を文書と口頭で説明したのち書面による同意を得た男性健康成人12名であり、年齢は22±2.2(平均±標準偏差)歳だった。対象は2群に分け、左背外側前頭前野に対し1mAで1分間の陽極刺激(偽刺激)を1日1回4日間連続で行った後、3日の間をおき同じ条件で20分間の刺激(実刺激)を4日間行ったA群と、最初の4日間は実刺激を行い、次の4日間に偽刺激を行ったB群とを比較した。陰極は右の眼窩上面に設置した。気分の変化についてはProfiles of Mood States(POMS)短縮版を用い、認知機能についてはCogHealthを用いてそれぞれ評価した。CogHealthについては、遅延再生課題のみ最終的な改善を認めたが、両群間に差はなかった。POMSについては全体では有意な変化を認めなかったものの、不安・緊張、抑うつ、疲労などの得点が高かったB群の1名では、前半の20分間の刺激終了後に気分の安定化を認め、後半の1分間の刺激終了後ではそれらがなくなっていた。全研究期間を通して、有害事象には特に認めなかった。以上の結果より、今回の条件でのtDCSは、気分や認知機能に悪影響を与える可能性は低いことが示された。逆に、抑うつ症状の強い場合には、tDCSにより改善が期待されるかもしれない。 今後は条件を変えて臨床応用の可能性を検討する必要がある。
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