2010 Fiscal Year Annual Research Report
高機能落射型蛍光顕微鏡とガラス線量計を用いた線質弁別線量評価に関する研究
Project/Area Number |
21659290
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 浩基 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (70391274)
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Keywords | 線質弁別 / 蛍光顕微鏡 / ガラス線量計 / 中性子捕捉療法 / 加速器中性子源 |
Research Abstract |
中性子捕捉療法におけるサイクロトロンを用いた加速器中性子源は研究用原子炉中性子源と比較して治療ビーム・全身被ばく線量のうち高速中性子成分の寄与が大きく、熱中性子線、ガンマ線線量以外にも高速中性子成分を評価する必要がある。本研究では光ルミネッセンス線量計の蛍光特性に着目し、さらに高性能蛍光顕微鏡を用いて光ルミネッセンス内で生成された荷電粒子(中性子とコンバータによって発生する)の軌跡情報を解析することにより、ガンマ線、熱中性子線、速中性子線を分離して測定手法を提案している。本年度は(1)KUR重水設備による熱中性子コンバータの最適化と、(2)速中性子コンバータの最適化を実施した。(1)熱中性子コンバータとして濃縮ボロノフェニルアラニン溶液に浸して照射を実施した。ボロン濃度に比例して蛍光量が増加することを確認することができた。明確な蛍光による軌跡を確認することが出来なかったが、おそらく蛍光ピットが多いためであり、中性子捕捉療法の照射場ではコンバータの有無による差し引きによって線量評価することが望ましいことが分かった。(2)一方、高速中性子の照射を実施したが、高速中性子フラックスが低いため、精度良く測定することが出来なかった。サイクロトロン加速器中性子源では高速中性子フラックスがKURよりも多く、エネルギーも高いため測定可能であると考えている。次年度では本年度の成果を踏まえて、サイクロトロン加速器中性子源の照射場に適したコンバータの最適化を実施し、線質弁別可能な線量計の実現を目指す。
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