2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内バイオフィルムの除去が小児糖尿病病態因子に及ぼす影響
Project/Area Number |
21659475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
香西 克之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10178212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光畑 智恵子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10335664)
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Keywords | 小児糖尿病 / 口腔バイオフィルム / 歯周病原細菌 / 1型糖尿病 / 糖尿病マウス / HbA1c / 小児歯周病 |
Research Abstract |
1型糖尿病は幼少期の早期に発症し、成人後は2型糖尿病同様の状況を示すことが報告されている。小児歯科では口腔内管理を行うことで糖尿病を発症している患児に対し、全身状態の改善と将来の口腔状態の悪化予防などを目的に早期に介入することが可能である。前年に引き続き行われた1型糖尿病キャンプに参加した小・中学生を対象とした調査より、歯周の状態としては前年と同様に骨吸収を認めないもののBOP+率、CPI≧1に関して健常児群より高く、この時期に視覚的変異は認めないものの、将来の歯周疾患憎悪危険因子を持っていることが再度確認され、また各参加者より採取したプラークサンプルのPCR結果よりほとんどの参加者が口腔内にTannerella forsythia(以下Tf)を持っていることが明らかとなった。さらに2005年と2011年の1型糖尿病患児の口腔内診査項目を比較したところ、BOP+患児の割合が、96.4%から60%に減少していた(P<0.05)。また2011年DM群は2005DM群に比べ一人あたりBOP数は低い値を示し、HbA1c値の増加に伴いBOP数が増加する傾向を示した。歯周病原細菌であるA.a,P.g,P.i,T.d,T.fの口腔内の細菌検出率には大きな違いはないが、1型糖尿病患児は歯周病のリスクファクターであるT.f(検出率約95%)が健常児(検出率80%)に比べ多く定着することが示された。本研究を臨床および口腔保健の観点から考察すると,小児1型糖尿病に対する口腔ケアによって口腔内の炎症状態は改善を示したことから,有病児への口腔ケアの重要性が示唆された。
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