2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤被爆の予防・安全な取り扱いをめざした統合的アプローチの開発
Project/Area Number |
21659506
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神田 清子 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (40134291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武居 明美 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (70431715)
石井 範子 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (10222944)
平井 和恵 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10290058)
高階 淳子 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (70436187)
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Keywords | 抗がん剤 / 曝露対策 / 安全 / 指針作成 / 組織的な取り組み / 要素 / 質的帰納的研究 |
Research Abstract |
日本においては、国家的に強制力のある抗がん剤曝露対策のための法的規制が未だ設定されていない。そのため安全な取り扱いのためには「個人防護の知識・技術」とともに病院組織としての独自の「管理コントロール」が不可欠である。我々は、病院組織としての曝露対策指針(ガイドライン)作成と定着のためのアプローチ法を開発し、指針を設定していない組織に普及していくことをめざしている。本研究の目的は、すでに指針を有している組織において、指針作成から定着までに必要な要素は何か明確にし、アプローチモデルを開発することである。方法として、全国のがん化学療法認定看護師20名に対して半構成的面接法を実施し、質的帰納的分析を行う因子探索型研究デザインを用いた。研究施設の倫理委員会の承認を得て行った。対象者には文書および口頭で研究内容を説明し、同意を得た。結果はがん化学療法認定看護師は<自ら実施すべき役割の認識><役割を遂行する内なる力>を自覚し、<推進するための交渉力・調整力・コミュニケーション力>をもち曝露対策指針(ガイドライン)作成のための推進者役割を果たしていた。指針作成には、<推進者個人の意識の高まりとともに組織の意識の高まり>、<指針作成の意見一致>、<推進の土台作りと組織の形成>、<組織に見合ったエビデンスに基づく指針作成>の4要素が必要であることが明らかにされた。また定着には<指針に基づく曝露対策の浸透>、<評価と人材育成>の要素が見いだされた。結論:指針作成の推進者には、(1)抗がん剤の知識(2)高い役割意識(3)組織を動かす力が必要であることが明確になった。また指針作成推進には多職種からなる組織化形成が鍵となっていた。さらに日本的な「根回し」による交渉力も不可欠であることが示唆された。 今後は、日本にあったアプローチモデルを作成し、その妥当性を専門家グループで検討することが課題である。
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Research Products
(2 results)