Research Abstract |
研究目的:体組成計を用いて上半身マッサージの効果を調査した。 【方法】被験者は,A大学病院に来院した続発性下肢リンパ浮腫患者の女性7名(平均年齢57.4±10.4歳).調査項目は,身長,体重,浮腫ステージ(ISL staging),体組成計測(MC-180,タニタ社製)使用.浮腫ステージは,IIb:3名,ステージIIa:4名であった.体組成計にて,上半身リンパドレナージ前後に計測を行い,左右部位別インピーダンス値を計測し,数値の変化を比較した.上半身リンパドレナージの際は起立姿勢から臥位姿勢へと姿勢変動をともなうため,姿勢変動による水分状態の変動を除外するため,脚部と腕部のインピーダンス比(Z比.50kHz)の変動を患側と健側で比較した.解析は,統計ソフト(SPSS15.0J)を用い,サンプル数が小さいことからウィルコクソンの符号付順位検定を行った.本研究は,倫理委員会の承認を得て,被験者より書面にてインフォームドコンセントを得た。 【結果】単純に姿勢変動の影響のみと考えられる健側のZ比は,リンパドレナージ前後で平均1.45から1.41に有意に減少した(p=0.02).一方,患側のZ比は平均1.84から1.83の変化であり,有意な減少とはならなかった(p=0.79)。 【考察】姿勢変動の影響として,脚部水分量の減少と上半身水分量の増加,すなわち,脚部インピーダンスの増加と上半身インピーダンスの低下が考えられる。このため,健側でみられたようにZ比は減少することが予測された。しかし,患側では姿勢変化に加えて上半身リンパドレナージを行ったにも関わらず,有意な水分変動は確認できなかった。これは,リンパ浮腫患者の患側の水分変動は,健側よりもの患側の流れが滞っているためと考えられた。このことは,下肢リンパ浮腫患者においては,上半身のみならず下肢に対するセルフケアの必要性が示唆されたと考えた。
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