2011 Fiscal Year Annual Research Report
周産期における父親のうつ状態の推移と危険因子-社会的要因と生物学的要因の重要性-
Project/Area Number |
21659525
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
西村 明子 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (20324783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一友 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (32023897)
末原 紀美代 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (90112044)
飯尾 祐加 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (70454791)
勝田 真由美 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (70514909)
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Keywords | 産後うつ病 / 父親 / 危険因子 |
Research Abstract |
妻の妊娠中から産後1年までの時期に、約10%の父親がうつ状態であり(Paulson et al.,2010)、父親のうつ状態は子どもの発達に負の影響があることが報告されている。今年度は、産後の父親のうつ状態のリスクファクターを明らかにすることを目的に、父親と母親を対象に妊娠末期から産後1年の縦断調査を行い、産後1か月の調査票の回収がほぼ終了している。 平成23年4月から12月の期間に、兵庫県の病院と診療所各一施設、大阪府の病院-施設の出産準備教室に参加した母親と父親539組に調査票を配布した。調査回数は、妊娠末期と産後1か月、3か月、6か月、1年の計5回であり、妊娠末期に調査票を返送した者にその後の調査票を郵送している。539組中、110名(20.4%)の父親と125名(23.2%)の母親から妊娠末期の調査票を回収した。そのうち13名(11.8%)の父親と28名(22.4%)の母親がエジンバラ産後うつ病自己調査票(EPDS)によりうつ状態であった。66名の父親と76名の母親から産後1か月の調査票の返送があり、12名(18.2%)の父親と24名(31.6%)の母親がうつ状態であった。5名の父親は妊娠期と産後1か月の両方でうつ状態であったため、産後1か月のうつ状態のリスクファクターの分析から除外し、最終的に61名の父親を分析対象とした。父親のうつ状態を従属変数、リスクファクターとして調査した項目を独立変数として単変量解析を行った結果、父親自身の精神科疾患の既往と関連がみられた。父親と母親のうつ状態に関連はみられなかった。今後、25名の父親から産後1か月の調査票が返送される可能性があるため、再度、最終的な分析を行う予定である。 本調査により、妻の出産後に初めてうつ状態となる父親が存在し、そのリスクファクターは精神科疾患の既往歴であることが明らかになった。わが国における少子化や虐待などの出産・育児に関連した問題を解決するためにも、父親を含めた周産期の夫婦の精神的健康状態を明らかにすることは重要である。現在、産後3か月、6か月、1年の調査を継続中であり、子どもが1歳になるまでの期間における父親のうつ状態の推移とリスクファクターを明らかにする予定である。
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