2011 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞及び個体レベルにおけるオーキシン誘導デグロン法基盤技術の開発
Project/Area Number |
21681027
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
鐘巻 将人 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (20444507)
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Keywords | 条件特異的変異体 / タンパク質分解 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
前年度より継続して行ってきた分解標識(デグロン)の小型化、さらにそれらを連結した改良型に関して、出芽酵母においておよそ30の必須因子に対して株を作成しこれらの機能を調べた。その結果、これまでのオーキシン誘導デグロンよりも改良型はより強い分解能力を持つことが明らかになり、それら内容を特許出願した。さらには、オーキシン誘導デグロン法が実際のタンパク質の機能解析に役立つことを示すために、DNA複製因子Mcm10に対するオーキシン誘導デグロン株を作成し、Mcm10の機能解析を行った。私たちは染色体複製開始反応において、複製ヘリカーゼの活性化反応にMcm10が寄与するという新たなMcm10の機能を見いだし、その結果をCurrent Biology誌に報告した。これにより、オーキシン誘導デグロン法が実際のタンパク質機能解析に役立つということを実証することができた。 培養細胞レベルにおいては、ニワトリDT40細胞において複数の複製関連因子(Mcm8,Mcm9,MCM-BP)の機能解析をオーキシン誘導デグロン法を応用して続けている。私たちはMcm8とMcm9が複合体として、DNA架橋修復に起こる二本鎖DNA切断を修復する相同組換え反応に機能していることを見いだした。この結果は現在論文として投稿中である。マウス個体レベルでの応用に関しては、EMBL Monterotondo研究所のChristophe Lancrin博士と共同研究を進行中である。_/
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーキシン誘導デグロン法の改良に成功し、その内容に関しては特許出願を行った。また、出芽酵母での実地応用に関しても論文として報告することができた。培養細胞レベルでの応用に関しては現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、オーキシン誘導デグロン法をヒト細胞レベルに応用するためには、内在性の遺伝子をどのように破壊するかもしくは、それらに分解標識を付加するかがカギになってくる。これまでこの問題に対する良い解決法が無かったが、去年報告された新たな遺伝子改変法TALENはこの状況を打破する大きなカギになると思われる。そこで、本年はオーキシン誘導デグロン法とTALENを組み合わせて、ヒト細胞レベルでコンディショナル変異株を作る技術を完成させることに挑戦したいと思っている。
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