2009 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダを中心に
Project/Area Number |
21681030
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
舩田クラーセン さやか Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (70376812)
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Keywords | 紛争後社会 / 平和構築 / アフリカ / モザンビーク / ルワンダ / 地域開発 / 住民主体 / ザンビア西部州 |
Research Abstract |
【目的】本研究は、ポスト冷戦期に急増したサハラ以南アフリカ(以下、アフリカ)の紛争が地域社会に残した深い亀裂に注目し、1990年代初頭に導入されるようになった平和構築活動が、地域社会においていかなる課題と成果をもたらしたのかについて、モザンビークとルワンダを対象として、ザンビアを比較事例として用い、実証的に明らかにするものである。 【計画実施状況】2009年度においては、研究実施計画通り、(1)当該研究の体制づくり、(2)文献調査、(3)ザンビア、ルワンダに関する研究懇談会、(4)現地調査(モザンビークで本調査、ルワンダで予備調査、ザンビアで比較調査)を行った。 【成果】本年度研究遂行の結果として明らかになった点として、モザンビークにおいても、ルワンダにおいても、紛争後15年を経過して、民主化の定着が元紛争主体同士の対立と絡み、困難に直面している。と同時に、国家権力を掌握する側に紛争経験が利用される傾向が現われており、権威主義的な傾向が強まっていることが観察されている。この点については、2010年度に詳しく調査を行うものとする。また、ザンビアでの比較調査により、地域開発において、住民の主体的努力を中心に据えることの重要性が明らかになった。この点は、最終年度の提言に活かしたい。 【意義・重要性】以上の予備的な結論は、ルワンダ研究、モザンビーク研究という個別の研究から徐々に言われ始めている点であるが、両国の比較研究はほとんど存在せず、「紛争後亀裂社会」という枠組みにおいての理論的な示唆は学術界で得られていない。また、学術的な成果を政策提言に反映させようという目的を有した研究は日本のアフリカ研究に少なく、本研究はユニークな試みとなっている。
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Research Products
(5 results)