2011 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダを中心に
Project/Area Number |
21681030
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
舩田クラーセン さやか 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (70376812)
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Keywords | アフリカ紛争 / 紛争後の平和構築 / モザンビーク / ルワンダ / 亀裂社会 / アフリカの民主化 / 国連平和活動 / 国民和解 |
Research Abstract |
【研究目的・計画】ポスト冷戦期に急増したサハラ以南アフリカの紛争が地域社会に残した亀裂に注目し、モザンビークとルワンダを事例として現地調査を積み重ねてきた。本年度は本研究の最終年度にあたり、両国で最終現地調査を実施した。また成果取り纏めに向けて、代表者の研究蓄積が不十分なルワンダについて専門家を招いた連続勉強会を開催し、先行研究の精読と活発な議論を行う一方、暫定調査結果について学会等で発表を行った。さらに、政策への成果還元を念頭に置き、実務担当者との意見交換なども活発に行った。【研究成果】いずれの調査対象地でも、外部者による直接的な平和構築活動の影響は限定的(国連による難民帰還支援とNGOによる貧困層対策に留まる)で、地域社会により影響を及ぼしたのは、モザンビークでは複数政党制選挙、ルワンダではガチャチャ裁判であった。それぞれ、紛争後の「処理」と「未来」の両方を見据えて新しく導入された政策であり、マクロレベルでは一定の役割を果たしたとされるが、調査地では社会内の亀裂をより複雑化する側面を示した。他方、モザンビークでは伝統的な儀礼、ルワンダでは教会活動など、紛争前から地域に根付いた活動が、住民間の亀裂解消において重要な役割を果たした/つつあることが明らかになった。地域社会内の亀裂をめぐる理解・対策については、両事例ともに男女間に大きな差違が見受けられ、ルワンダでは民族間の違いが大きい点が確認された。両国ともに、紛争後の政府の権威主義化とガバナンスの不公正さが亀裂を悪化させている点も明らかになった。【意義と重要性】本研究は、以上の実証研究により、これまで国レベルの制度改革に力点が置かれてきた平和構築の議論に、戦場となった地域社会の文脈を取り入れ、従来の平和構築活動の限界を明らかにし、地域社会の亀裂解消を目的に含める重要性を喚起した。今後も成果を広く発信し、亀裂社会における紛争再燃の予防に寄与したい。
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Research Products
(6 results)