2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21682003
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小暮 実徳 明治大学, 文学部, 兼任講師 (90537416)
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Keywords | 幕末期オランダ対アジア政策 / 幕末期オランダ対日外交政策 / アメリカ合衆国ペリー司令官日本遠征 / アメリカ対日政策 / アメリカ対アジア政策 / タウンゼント・ハリス |
Research Abstract |
本年度は、アメリカ現地調査が主目的であった。本調査では、19世紀中葉の、特に日本開国に決定的な役割を果たしたアメリカ合衆国ペリー司令官の日本遠征を焦点とし、当時のアメリカによる対日、ひいてはその対アジア政策の真相を、史料に基づき詳らかにすることが期待された。 本年度夏は、主にワシントンDCとその近郊メリーランド州に存在する二カ所の国立公文書館と議会図書館で調査を行った。この主な文書は、国務省と海軍省のファイルに含まれる関係史料となった。文書はほぼマイクロフィルム化されていたが、オリジナルで閲覧するものも存在した。この調査から、ペリー日本遠征の真相を伺い知ることが出来た。この成果は拙稿「ペリー日本遠征の再検討とその真意-アメリカ合衆国国立公文書館国務省・海軍省ファイルに含まれる未公刊関係史料の検討から」として纏め、明治大学創立130周年記念懸賞論文に投稿し、最優秀賞を獲得した。そこで近くその日本語版と英訳版が出版される予定である。 本来上述の研究を継続する計画であった。しかし前回の調査の際、関係史料が効率よく収集でき、また当時新史料の存在が確認できたため、冬にはニューヨーク・シティカレッジ図書館史料部が保有する『タウンゼント・ハリス個人文書』の検討を行った。この文書の存在は知られていたが、特に同文書に含まれる「ハリスの手紙」は、ファイル名から一見家族・友人等のものと考えられた。しかしこれが、ハリス日本滞在時の各国要人との外交書簡であると理解されたため、この文書の分析と、デジタルカメラによる収集を行った。この文書の検討は、当時のアジアにおける欧米列強ネットワーク形成の草創期を明らかにし、また当時の実相を生き生きと再現できるため、当時の歴史認識の深化に大きく貢献すると考えられる。 本年度も、大変実りある調査ができました。このような機会が与えられたことを、記して心から感謝します。
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