2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21682003
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小暮 実徳 明治大学, 文学部, 兼任講師 (90537416)
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Keywords | 幕末期オランダ対アジア政策 / 幕末期オランダ対日外交政策 / 英蘭関係 / 英米関係 / オランダ植民地 / オランダ外務省 |
Research Abstract |
本年度は、主にオランダで、幕末期日本関係オランダ語史料出版計画を終了させる計画であった。この元となる史料は既に翻字し、同国クリンゲンダール研究所ファン・デル・プッテン博士とライデン大学ブイケルス教授のチェックを受け、所見を受けていた。そこで当該箇所の諸問題について、直接面会し解決した。その後は、問題個所を史料のオリジナルと照合作業を行った。このオリジナルの大部分は、既にデジタルカメラで収集していたが、検討の結果、欠落文書も判明し、取り直す作業も行った。これは実際史料が正しい場所に保管されていなかったことから生じていた。ファイルを丁寧に調べ、ほとんど収集した。史料数の膨大さから、関係文書・その当該個所を発見することは厄介であったが、当該個所全てを照合した。この作業のほかには、ブイケルス教授から、日本開国期のオランダ対日外交政策の変遷に関する論文執筆を勧められたため、国立中央文書館が所有する、日本問題に関する1850-70年間のオランダ外務省文書を分析・検討した。「日本」として纏められているこの史料を、全てデジタルカメラで撮影した。 19世紀中葉、アメリカの日本遠征が行われたが、この点でオランダの、特にその積極的な対日政策を語るうえで、英蘭関係は見過ごせない。すなわちヨーロッパの領土的小国オランダは、同盟国であり大国のイギリスの支援をあてにし、対アメリカ対策が行えた。しかし実際英米関係は、いかなるものであったろうか。この点は本研究に極めて重要である。この問題を明らかにするため、イギリス国立文書館での現地調査も行った。実際本件における英米の緊密な関係を伺うことは出来なかったが、良い認識を得た。現在同文書館でもデジタルカメラの撮影が自由になっているため、貴重な関係文書を撮影・収集した。 今回の調査でも、長期滞在による現地調査から、多くの知見や現地・海外研究者との交流等を得ることができ、大変実りのある調査が行えた。記して心より感謝いたします。
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