2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRIUMFにおける世界最高精度での時間反転対称性の破れ探索実験
Project/Area Number |
21684012
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
村田 次郎 Rikkyo University, 理学部, 准教授 (50360649)
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Keywords | ベータ崩壊 / 時間反転対称性の破れ / ドリフトチェンバー / 偏極原子核 / 電子線 / 飛跡検出器 / ISAC |
Research Abstract |
本研究は、偏極原子核のベータ崩壊における、時間反転対称性を破る三重相関の有無を、カナダのTRIUMF研究所において世界最高精度で探索する実験研究である。研究所年度である平成21年度には、2008年に採択されたS1183MTV実験の検出器系の信頼性を確認するため、KEK-TRIACに設置してテスト実験を行った実験装置一式をバンクーバーまで海外輸送し、TRIUMF-ISACの低エネルギー偏極ビームラインへの設置を行った。ISACで得られるビームの最強強度は10^8ppsであり、この高レートに対する負荷試験として10MBqの線源を用いたテスト測定を行った。結果として、本実験で用いるドリフトチェンバーに対するノイズ環境の特性を理解する事が出来た。オフラインテストを繰り返し行った上で、2009年11月には最高で10^7ppsの80%偏極した8Liビームを実際に用いたテスト実験を遂行した。 このテスト実験では、KEKでのテスト実験に比べてビーム強度が1000倍以上にも達する為、2010年に予定されている本番測定に向けて、主としてレート耐性に関する調査を行った。結果として、ドリフトチェンバー内部における空間電荷効果による増幅率の低下という問題と、データ収集システムの速度に課題が見つかった。そこで、それまで用いていたP10ガスを別種のガスに変えてバイアス依存性、レート依存性の調査を開始した。また、データ収集速度を飛躍的に向上させるため、ハードウエアの変更を行い、かつ読み出し方式をバッファ読み出し方式に変更する開発を進めている。これらの開発の上で、2010年秋にテスト実験、冬に本番実験を行う予定である。
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