2010 Fiscal Year Annual Research Report
TRIUMFにおける世界最高精度での時間反転対称性の破れ探索実験
Project/Area Number |
21684012
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
村田 次郎 立教大学, 理学部, 准教授 (50360649)
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Keywords | ベータ崩壊 / 時間反転対称性の破れ / ドリフトチェンバー / 偏極原子核 / 電子線 / 飛跡検出器 / TRIUMF / ISAC |
Research Abstract |
本研究は、偏極原子核のベータ崩壊における、時間反転対称性を破る三重相関の有無を、カナダのTRIUMF研究所において世界最高精度で探索する実験研究である。研究初年度である平成21年度に、S1183MTV実験の検出器系の信頼性を確認するため、KEK-TRIACよりTRIUMRFへ移設・ビームを用いたテスト実験を行ったのに引き続き、二年目にあたる平成22年度には本番のデータ収集を行い、初期の目標であった時間反転対称性に破れに関する世界最高の統計精度での検証実験を成功させる事が出来た。この実験を遂行するにあたり、初年度のボトルネックになっていた、データ収集系の新規開発を行い、バッファ読み出しによる約50倍の高速デジタルデータ読み出しを実現させた。また、終状態相互作用の評価に欠かせない、電子のエネルギー計測を高速データ収集系で実現するため、pQTC回路と呼ばれる簡易アナログ読み出し回路を開発し、性能評価の上で実装させた。さらに、ビームの偏極方向のミスアラインメント起源の系統誤差を抑制するための新規装置の開発・実装や、ドリフトチェンバーの検出効率の向上、読み出しエレキの改造など、数多くの開発、改良を現地に半年以上、共同研究者を滞在させて行った上で本番実験を行った。実験前よりトラッキングコードの抜本的見直しから始める事で、高速化を実現する目処が既に立ち、研究期間内での研究成果発表に向けて現在、精力的に解析中である。平成23年度には、解析、出版と並行して系統誤差を抑制するための追加計測を現地にて実施する予定である。
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