2009 Fiscal Year Annual Research Report
無機/有機ヘテロ界面制御による逆型有機薄膜太陽電池の性能劣化解析と高耐久化
Project/Area Number |
21686011
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桑原 貴之 Kanazawa University, 物質化学系, 助教 (80464048)
|
Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 交流インピーダンス / 耐久性 |
Research Abstract |
我々がこれまでに報告している逆型有機薄膜太陽電池(TCO/n型半導体/PCBM:P3HT/PEDOT:PSS/Au素子)の新たな評価方法として、交流インピーダンス法(IS)を適用し、太陽電池の性能劣化因子の解明を行った。本年度はゾルゲル法により作製した酸化亜鉛(ZnO)薄膜を電子捕集層に用いたFTO/ZnO/PCBM:P3HT/PEDOT:PSS/Au逆型素子について研究を行い、光電変換特性と光IS特性を評価した。光IS測定により、本逆型素子に存在する成分のうち、ZnO層およびPCBM:P3HT層に電気容量成分があることが確認された。また、蓮続光照射下における光IS測定から、ZnO/PCBM界面の電荷移動抵抗の増加が観測された。この抵抗増加は、ZnO表面での光触媒効果により、ZnO表面付近の有機膜が劣化したためと考えられる。このように、光IS法を用いることにより、光電流電圧曲線から得られた光電変換特性をより詳細に解析でき、性能の同上および劣化がどの界面およびバルクに由来するのか帰属することができた。この結果を背景に、n型半導体/有機発電層界面が改善できれば耐久性の向上に繋がると着想し、化学浴析出酸化チタン(TiOx)を電子捕集層に用いたITO/TiOx/PCBM:P3HT/PEDOT:PSS/Au逆型素子について、素子内に含まれる水分が耐久性に及ぼす影響について研究した。素子作製で混入する水分を制御することにより、未封止であるにも関わらず、面積1cm^2素子でPCE2.2%、連続光照射100時間による相対性能保持率95%を達成した。従来、未封止かつ大気下における遵続測定での性能保持時間は20時間程度であったことから、耐久性が約5倍向上する結果であり、1000時間の耐久性を有する素子開発のための有用な知見が得られた。
|