2010 Fiscal Year Annual Research Report
無機/有機ヘテロ界面制御による逆型有機薄膜太陽電池の性能劣化解析と高耐久化
Project/Area Number |
21686011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桑原 貴之 金沢大学, 物質化学系, 助教 (80464048)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 劣化機構 / 耐久性向上 |
Research Abstract |
我々がこれまでに報告している逆型有機薄膜太陽電池(TCO/n型半導体/PCBM:P3HT/PEDOT:PSS/Au素子)に対して、電流電圧(I-V)特性、交流インピーダンス法(IS)、表面AFM測定などを組み合わせて、太陽電池の性能劣化因子の解明を行った。発電層に用いる材料および溶媒、n型半導体層の種類の組み合わせにより、H21年度に報告したn型半導体/PCBM界面に加えて、PCBM:P3HT発電層バルク中におけるモロフォロジー変化が有機薄膜太陽電池の性能低下に起因していることを見出した。連続光照射実験時におけるPCBM:P3HT層のモロフォロジー変化を調査したところ、PCBMの凝集と短絡光電流(Jsc)の低下との相関関係が得られた。より詳細な凝集メカニズムを調査するために、電池の加熱時間と発電特性を追跡した。電池素子に70℃の加熱処理を長時間加えた時、光連続照射時と同様のPCBMの凝集が観察されたことから、この凝集が熱によって引き起こされていることが分かった。これは熱によって高分子材料であるP3HTの運動性が促進されることにより、PCBM間で相互作用が可能な領域が増加したことが示唆される。したがって、熱によるモロフォロジー変化を抑制することができれば、PCBM:P3HTバルクの劣化が制御できると予想されるため、今年度の成果は、本課題の目標である1000時間の耐久性を有する素子開発のための有用な知見を示しているといえる。
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Research Products
(5 results)