2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA構造転移とバイオミネラリゼーションの調和による動的躍動なナノ結晶クラスター
Project/Area Number |
21686076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 光央 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70333846)
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Keywords | ナノバイオ / ナノ材料 / 生物・生体工学 / 自己組織化 / 分子認識 |
Research Abstract |
研究代表者は、λファージ由来のλ-DNA分子表面にパラジウムイオンを濃縮させることによって、λ-DNA分子をひも状構造から中間遷移構造を経てグロビュール構造へ転移を引き起こさせることに成功している。そして昨年度までに、他種のDNA分子を用いて球状やドーナツ状の構造を形成させることに成功し、それら金属イオン濃度変化によるDNA分子の形態変化を観測することに成功した。そこで本年度は、DNAグロビュール構造を鋳型とした金属・半導体・セラミックスのナノ結晶クラスター体の作製を目指して、昨年度に達成した至適DNAグロビュール構造に濃縮された各金属イオンを鉱物化し、ナノ結晶クラスターを作製することを行った。 金属イオンを濃縮したDNAグロビュール構造にNaBH_4やアスコルビン酸などの化学還元剤を用いてバイオミネラリゼーションを行った。その結果、グロビュール構造に沿って、数nmの金属ナノ粒子が50mm程度にアセンブリした自己組織化体が形成されたが、還元力の違いによってその自己組織化体の大きさと均一性に差ができ、還元力が緩やかなものほど自己組織化体の均一性が高かった。一方、還元力が大きいものは、グロビュール構造が変性してしまうため、均一性が低下するが、ナノ粒子アセンブリ構造が数珠つなぎになった興味深い構造体を形成した。これは、速い還元反応のため、一つのグロビュール構造が複数に分裂したためと考えている。以上から、還元速度の制御することによってグロビュール構造に忠実なナノ粒子アセンブリ体を形成させることに成功した。
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