2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA構造転移とバイオミネラリゼーションの調和による動的躍動なナノ結晶クラスター
Project/Area Number |
21686076
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 光央 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70333846)
|
Keywords | ナノバイオ / ナノ材料 / 生物・生体工学 / 自己組織化 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、DNA分子が表面にカチオンを濃縮することによって、渦上に凝集したグロビュール構造へ転移することを利用し、そのDNAグロビュール構造を鋳型とした無機ナノ結晶クラスター構造を作製し、外的刺激によるナノ結晶クラスターの構造と機能的応答の評価、および、動的ナノ輸送体としての開発を行った。 外的刺激によるナノ結晶クラスターの構造・機能的応答の評価を行うために、DNAグロビュール構造を鋳型とした金属ナノ結晶クラスターに水素を吸蔵させた時の電気特性を評価したところ、通常、水素が急増すると素材の電気抵抗は増加するのに反して、抵抗値が減少していた。これは、水素を吸蔵することによって金属ナノ結晶の体積が増大し、ナノ粒子間が接合したため電流が流れやすくなったためと考えている。また、水素吸蔵後に真空処理して電子顕微鏡で構造を評価したところ、水素吸蔵処理前と構造に変化がなかったことから、この水素応答工程では、ナノ結晶クラスター構造は壊れることがないことが示された。さらに、この金属ナノ結晶クラスターは水中で高分散したので、水溶液に懸濁して、磁場下で円偏光二色性スペクトルを測定した。その結果、磁場の強度変化とプラズモン吸収領域に現れるスペクトル強度に比例関係以外の相関が現れ、磁場下でナノ結晶クラスター構造が変化している可能性が示された。 また、動的な多機能ナノ輸送体の開発として、1つのDNAグロビュール構造に金イオンを濃縮して、DNAグロビュール構造を鋳型とした金属ナノ結晶クラスターを形成させ、その金表面を利用して、酸化鉄を合成することによってヘテロナノ結晶集合体を作製した。その際、薬剤存在下でクラスター化させたところ、ナノ結晶集合体内部に薬剤を内包させることに成功した。そして、このヘテロナノ結晶集合体に磁場を照射したところ、若干ではあるが、薬物の放出を確認できた。
|
Research Products
(8 results)