2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を基盤とした二次代謝産物の探索及び遺伝子資源の物質生産への応用
Project/Area Number |
21688009
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鮒 信学 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70361574)
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Keywords | III型ポリケタイド合成酵素 / ポリケタイド / Oryza sativa / Streptomyces / アルキルレゾルシノール |
Research Abstract |
III型ポリケタイド合成酵素(III型PKS)は、植物と微生物に幅広く分布し、主に芳香族ポリケタイドの合成を触媒する。イネOryza sativaは28種類のIII型PKSをそのゲノムに有するが、サクラネチン、トリシンやアルキルレゾルシノールなど小数のポリケタイドしか単離されていない。つまり、イネのゲノムには単離されたポリケタイドよりも多くのIII型PKSが存在し、イネの潜在的なポリケタイド生産能に期待がもたれる。我々は、イネのIII型PKSの機能解析を網羅的に行った。 OsPKS11、OsPKS30とそれぞれ命名したIII型PKSは、いずれものナリンゲニンカルコンの合成を触媒するカルコン合成酵素と高い相同性を有していた。実際、OsPKS11、OsPKS30は、カルコン合成酵素活性を示し、OsPKS11、OsPKS30がイネにおけるサクラネチン、トリシンの生合成酵素であることが判明した。カルコン合成酵素は植物に幅広く存在する酵素であり、フラボノイドの生合成鍵酵素である。また、ARAS1、ARAS2とそれぞれ命名したIII型PKSはいずれもalkylresorcylic acidを生産する酵素であることが判明した。従って、ARAS1、2がイネにおけるアルキルレゾルシノールの生合成酵素であることが明らかとなった。 放線菌は、二次代謝産物の宝庫とも呼ばれるほど生合成に多様性を有する原核微生物である。我々は、放線菌Streptomyces属から新規III型PKS様配列を複数見出した。それらIII型PKSを放線菌において発現させることによって、新規化合物の生産に成功した。
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