2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を基盤とした二次代謝産物の探索及び遺伝子資源の物質生産への応用
Project/Area Number |
21688009
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鮒 信学 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70361574)
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Keywords | III型ポリケタイド合成酵素 / ポリケタイド / クルクミン / Streptomyces |
Research Abstract |
III型ポリケタイド合成酵素(III型PKS)は、植物と微生物に幅広く分布し、主に芳香族ポリケタイドの合成を触媒する。クルクミノイド合成酵素はIII型PKSの一種であり、クルクミノイドの合成を触媒する。我々は、放線菌においてクルクミノイドやスチルベンを生産するために、ホストの検討を行った。土中より採取した200種以上の放線菌の多くがスチルベンを異化することが判明した。これは、βアジピン酸経路による異化であると考えられる。また、放線菌Streptomyces avermitilisもゲノム上にβアジピン酸経路が存在することが、BLAST検索から明らかとなった。 放線菌S. reveromyceticusのゲノムに、III型PKS様配列が5種見出された。この内、9488は既知III型PKSとアミノ酸相同性が低いため、新規反応を触媒する可能性が高いと判断した。放線菌S. avermitilisをホストとして9488を発現させたところ、4種の化合物の蓄積がHPLC分析により判明した。各種NMR解析、MS解析の結果、これらはpyrone骨格をもつ新規な芳香族ポリケタイドであることが判明した。9488をpColdIにクローニングし、pColdl-9488を構築した。E.coli BL21/pColdI-9488を0.1mM IPTG誘導下振とう培養したところ、可溶性および不溶性画分に組換え9488がSDS-PAGEにより検出された。そこで、可溶性画分からNickel-NTA columnを用いて組換え9488を精製した。有機合成によって調整したdiketide-NACをスターター基質として組換え9488のin vitro反応を行ったところ、pyroneを生産することが判明した。以上より、9488は新規なpyrone化合物の合成を触媒するIII型PKSであることが判明した。
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