2009 Fiscal Year Annual Research Report
中枢ドーパミンシナプスの作動機構および維持・可塑性
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21700347
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳岡 宏文 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (10452020)
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Keywords | ドーパミン / チロシン水酸化酵素 / ノックアウトマウス / 黒質 / 線条体 / アデノ随伴ウィルス |
Research Abstract |
黒質線条体のドーパミン投射は自発的運動に重要である。パーキンソン病では黒質ドーパミン神経細胞が変性するが、線条体におけるドーパミン含量は代償的に維持されることが示唆されている。本研究では線条体におけるドーパミン含量の制御の分子機構を調べるため、ドーパミン合成酵素であるチロシン水酸化酵素の遺伝子の遺伝子破壊をマウスで行った。具体的には、floxedTHマウスの黒質にCreを発現させるアデノ随伴ウィルスをin vivoで注入し、TH遺伝子欠損を引き起こした。その結果、線条体においては残存するTHタンパク質量に比べてドーパミン含量がずっと多く、ドーパミン含量の恒常性維持的代償機構が働いていることが示唆された。線条体のTHタンパク質量については黒質におけるドーパミン神経細胞の減少率と同程度であり、THタンパク質量そのものの代償的維持は特に認められなかった。線条体抽出物からTHの活性を測定したところ、残存するTHタンパク質一分子当たり活性の上昇が若干認められた。この点についてはさらに検討する予定である。ドーパミン作動性シナプスでは、シナプス小胞上にドーパミンを取り込むためのトランスポーター(vMAT2)が存在する。これについて、ウエスタンブロッティングによりその量の変化を検討したが、特に変化は認められなかった。従って、シナプス小胞の数、またはトランスポーターの数の変化による代償作用が起きている可能性は低いと考えられた。
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