2009 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR遺伝子増幅を指標とした膠芽腫浸潤範囲の描出と周囲の組織反応の検討
Project/Area Number |
21700391
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮永 朋実 Gunma University, 大学院・医学研究科, 助教 (30455951)
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Keywords | 病理学 / 脳・神経 / 脳・腫瘍 / 膠芽腫 / EGFR遺伝子 / CISH |
Research Abstract |
腫瘍細胞の浸潤様式を知り、正確な浸潤範囲を推定することは悪性腫瘍の診断および治療戦略上重要である。しかし、原発性脳腫瘍の中で頻度が高く予後の悪い腫瘍である膠芽腫は、画像診断学上のみならず病理診断学上も、浸潤範囲の推定が困難である。本研究は膠芽腫の中で増幅を示す遺伝子として最も頻度が高いとされるEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子に着目し、明視野顕微鏡下で組織形態と遺伝子異常の同時観察を可能とする技術であるCISH(chromogenic in situ hybridization)法を用いて、腫瘍の検索を行った。CISH法で遺伝子増幅があることを腫瘍細胞の指標とすることにより、細胞単位で腫瘍細胞を明確に同定することを可能とした。この方法は、EGFR遺伝子増幅を示す膠芽腫症例で、且つ腫瘍本体と浸潤部を含むようなen blocで切除された症例が主な検索対象となるため、症例の選択が重要であった。目的に合致した症例において、遺伝子増幅を使用した腫瘍細胞の同定による腫瘍浸潤の範囲は、従来形態による判断やMIB-1などの増殖能マーカーを使用して想定していた範囲よりも広く、神経細胞や血管周囲など特定の構築に沿って浸潤する傾向が認められた。背景の細線維性基質が破壊された腫瘍部ではめだたないものの、浸潤部では核異型を伴うものの遺伝子増幅のない反応性gliosisと考えられる細胞の増生があり、形態学的な差異や密度による腫瘍範囲の推定上、注意が必要であると考えられた。本年度は評価が主として定性的であったため、次年度は画像解析手法を用いて定量的に評価することにより、客観性の高いデータを蓄積し、腫瘍細胞の浸潤の有無を判定するときの所見の重要度について検討していく予定である。
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