2010 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR遺伝子増幅を指標とした膠芽腫浸潤範囲の描出と周囲の組織反応の検討
Project/Area Number |
21700391
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮永 朋実 群馬大学, 医学部, 助教 (30455951)
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Keywords | 膠芽腫 / 脳腫瘍 / 浸潤 / EGFR / 遺伝子増幅 / chromogenic in situ hybridization / 脳 / 病理学 |
Research Abstract |
膠芽腫(glioblastoma)は広範囲に浸潤性増殖を示し、画像診断学的にも病理診断学的にも腫瘍範囲の推定が困難な腫瘍である。本研究ではchromogenic in situ hybridization(CISH)法を用い、EGFR遺伝子増幅を指標とすることで一個単位で腫瘍細胞を同定し、膠芽腫の浸潤とそれに伴う組織反応を検討した。1990年度から現在まで膠芽腫と診断された症例のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを用い、CISH法でEGFR遺伝子増幅を示す症例を抽出した。膠芽腫は、腫瘍内でgenotypeの多様性を示す症例の存在が知られているため、CISH法標本の全体を観察し、形態学的に腫瘍細胞が確認できる領域に一致してEGFR遺伝子増幅を示す症例を選んだ。作製した標本をバーチャルスライドシステムで高精細画像データ化を行った。神経細胞、血管内皮細胞など形態学的に同定可能な細胞と、CISH法でEGFR増幅のある細胞、それ以外のグリア細胞を、画像ソフト上でそれぞれレイヤー機能を使ってプロットした。その結果、周辺部の脳組織で形態学的に同定不可能な腫瘍細胞の存在が確認され、神経や血管の走行に沿って浸潤する傾向が示唆された。形態学的に明らかな腫瘍部においても、EGFR遺伝子増幅のない非腫瘍性のグリア細胞が確認され、特に腫瘍辺縁部で増生がみられるなど、いわゆる反応性gliosisを示していた。微小血管増殖像(MVP)を示す血管壁に腫瘍細胞が種々の程度に混在しており、腫瘍細胞そのものがMVPの構成要素となっていることがわかった。
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