2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700420
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
吉村 武 生理学研究所, 分子生理研究系, 特任助教 (60402567)
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Keywords | 糖鎖 / シアル酸 / 神経細胞 / 糖蛋白質 / シグレック |
Research Abstract |
脳において糖蛋白質など糖鎖を有する分子は神経系の発生やシナプス活性の調節などにおいて重要な役割を果たす。ある特定の糖転移酵素を欠損したノックアウトマウスでは神経系の機能異常などが起こる。また、先天性グリコシル化異常症候群の解析から、神経系における糖鎖の重要性が高いことは明らかである。しかし、脳における糖蛋白質糖鎖の関与する分子機構は不明な点が多い。 我々は微量な試料からのN結合型糖鎖の網羅的解析方法を確立し、この手法とSDS-PAGEを組み合わせて目的蛋白質に修飾されているN結合型糖鎖を解析する方法を確立した(Yoshimura et al.,Anal Biochem,2012)。本研究では新規糖蛋白質糖鎖の生理機能の明らかにすることを目的とした。どの糖蛋白質がこの新規シアル酸糖鎖を持つか検討した。マウス脳抽出液をSDS-PAGEで展開後にゲルを分割して、個々のゲルに新規シアル酸糖鎖が検出されるか検討し、50~70kDaの蛋白質がこの糖鎖構造を持つことを突き止めた。また、大阪大学大学院の深瀬浩一教授らと共同研究を行い、蛍光標識化したクラスター化された合成した新規シアル酸含有N結合型糖鎖と結合する新規分子の細胞内局在の探索を行った。 開発した糖鎖解析方法を用いて脳内シアル酸の結合様式を網羅的に解析した。結果は投稿準備中である。また、末梢神経障害に関わる髄鞘糖蛋白質POの糖鎖に着目し、その主要な糖鎖構造を明らかにした。ほ乳類動物種間におけるPOの糖鎖の比較解析も行った。N結合型糖鎖解析過程でLewis X糖鎖構造の合成に関わる新規フコシル基転移酵素FUT10を見出し、マウス胎児脳におけるFUT10の詳細な局在を明らかにした。局在している部位のみ取り出して糖鎖解析を行い、Lewis X糖鎖構造が発現していることを確認した。 故に、平成23年度の研究計画はほぼ達成できたと考えている。
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Research Products
(8 results)