2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性期リハビリテーションにおける認知機能障害の評価尺度ならびに回復ツールの開発
Project/Area Number |
21700557
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Research Institution | Taisei Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 公洋 太成学院大学, 人間学部, 准教授 (00388670)
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Keywords | リハビリテーション / 意識障害 / 脳活動 / 背面開放座位 / 瞬目 / 覚醒 / 認知 |
Research Abstract |
1.急性期意識障害患者に対する背面開放座位の効果 脳卒中や頭部外傷による遷延性意識障害患者に背面開放座位を行うことが,意識覚醒に有効であるという報告がある。本研究では急性期意識障害患者を対象に背面開放座位を行い,意識覚醒の程度をGCSと瞬目回数によって評価することを試みた。対象は脳卒中や頭部外傷による急性期意識障害患者4名であった。入院期間の短い患者3名についてはGCS,瞬目回数ともに大きな変化はみられなかった。一方,入院期間が長かった患者1名については,GCSには大きな変化がみられないにも関わらず,瞬目回数の増加が確認された。計測開始時では背面開放座位時のみ瞬目回数の増加がみられたが,途中より安静時と背面開放座位時との瞬目回数には大きな差が見られなくなった。遷延性意識障害と同様に,急性期意識障害の患者に対する背面開放座位も意識覚醒に有効である可能性が示唆された。 2.脳活動モニタリングによる意識障害の認知リハビリテーション 意識障害患者の認知活動を脳活動モニタリングにより評価するリハビリテーションの開発を目的とした。受傷後3年6ヶ月と,6ヶ月の意識障害患者を対象者とした。患者の覚醒水準と認知活動を,目視(瞬目等)と小型頭部近赤外分光計測装置により確認した。各患者の認知リハビリテーションに適切と考えられる刺激(動画像等)を,反応を確認しながら探索的に提示した。脳活動モニタリングを用いた認知リハビリテーションの有効性が示された。目視による観察では判断のつきにくい場合でも,前頭前野の脳血流,脈拍数の変化によって患者の認知活動を確認することが出来た。リハビリテーション内容の善し悪しを計測値から相対的に比較することの可能性も示唆された。患者の(特に受傷時からあまり遡らない時期の)趣味・嗜好にかかわる刺激が,有効に認知機能を賦活させる可能性が高いことが示された。
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