2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロスポーツが地域社会に与える影響についての時系列的研究
Project/Area Number |
21700635
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松岡 宏高 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (10367914)
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Keywords | プロスポーツ / 地域 / 観戦者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域に新しいプロスポーツ組織(クラブやチーム)が現れることによって、その地域に起こる変化について時系列の調査分析を行い、プロスポーツが地域地域社会に与える影響を明らかにすることであり、2011年度は3年間に亘る取り組みの最終年度であった. 2010年に秋田県に誕生したプロバスケットボールチームの秋田市でのホームゲームにおける観戦者を対象に質問紙調査を実施した。2011年11月に実施された2試合において、453の有効回答を回収した。このデータを2009年および2010年に同じく秋田市で収集したデータと比較し、観戦者の意識の変化の確認を試みた。その結果、「チームの誕生が地域の活性化に役立っている(5段階尺度)」という項目に対する回答が、チーム誕生前年の2009年の観戦者(M=4.26)に比べて2010年の観戦者(M=4.44)および2011年の観戦者(M=4.47)のほうが有意に高いことが確認された。また、地域住民のバスケットボールへの関心がチームの誕生によって高まったかどうかについても、2009年観戦者に比べて統計的に有意に高い評価を示し、地域アイデンティティ(5段階尺度)についても有意に上昇したことが確認された。 さらに、チームが本拠地とする秋田県内の住民のスポーツおよび地域に対する意識の変化を明らかにすることを目的として、小・中学生およびその親を対象に質問紙調査を実施した。その中で、小中学生のスポーツおよび地域に対する意識とホームゲーム観戦経験の関係を分析した結果、観戦経験とスボーツ関与のポジティブな関係、および観戦経験と地域愛着や地域の自治意識のポジティブな開係が明らかになり、プロスポーツの地域社会への好影響の存在の可能性が確認された。本研究においてはその因果関係の検討には至っておらず、さらに継続した研究が必要である。
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